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回文を作ろう!

皆さんは「回文」をご存知ですか?
上から読んでも下から読んでも同じ文のことです。
簡単な例を挙げると「トマト」「しんぶんし」など。
ちゃんと文になっているものだと「たけやぶやけた」とか「わたしまけましたわ」とかが有名ですね。

私もこういった回文をたまに作るので、この記事ではその(私流の)制作方法について書いていきたいと思います。
(以前、謎解きWikiの「回文」のページに私が書いた「作り方」の部分に加筆したものになります。)

ちゃんと内容のある回文を作りたい

まず、ここでの目標は、「読んでちゃんと意味が分かる回文を作る」ということです。
適当に単語を並べたりつなげたりしただけのものだとあんまり面白くないので。
そのためには回文自体に具体的なテーマが必要になってきます。

ですので、まずは核となるキーワードを1つ決めます。
キーワードを設定すると、それを起点にして文の構成を考え始めることができます。

そしてこれは回文ですから、そのキーワードを逆から読んでみて文になるかどうかを見極める必要があります。
長い単語をキーワードに設定するとこの段階で挫折することもよくあります。

具体例を挙げて考えてみましょう。
今回は私の名前の「ナゴマ」をキーワードにしたいと思います。
「ナゴマ」を逆から読むと「マゴナ」……3文字なので文に組み込むことはできそうです。

文をどんどん伸ばしていく

次に、この逆読みした文字列が含まれる文を考えます。

先ほどの例の「マゴナ」であれば、「孫撫でる(マゴナデル)」とか「卵投げて(タマゴナゲテ)」とかが思いつきます。
今回は「マゴナ」の「マゴ」の部分を「卵」にして、「ナ」の部分はもうちょっと文全体の方針が見えてから処理をすることにしましょう。

このように逆読みのキーワードに文字を付け加えて文のパーツができたなら、今度はもとのキーワードにも同じように文字を付け加え、再びその文字列が含まれる文を考えます
だって回文だから。

「マゴナ」を「タマゴナ」にしたので、「ナゴマ」は「ナゴマタ」になっているはずです。
ではこの付け加えられた「タ」をどうするか。
ナゴマは人名なので、「ナゴマ立つ」のように動詞を付けたり「ナゴマ楽しい」のように感情表現を付けたりすると自然な気がします。
(何をもって自然とするかは作る人のセンス次第なのでまあ自由にやりましょう。)

また、この時点ですでにさらなる逆読みを考えておきます。
「ナゴマ楽しい」だと「イシノタマゴナ」となるので、「石の卵」「医師の卵」とか作れます。
でもそういった言葉を「ナゴマ楽しい」と同じ文に入れなければならない。
私が医学部なら「医師の卵・ナゴマ、楽しい」とかそういう回文にできますが、残念ながら理学部なので今回は見送りましょう。
(別に回文は虚構でもいいのでこれで完成にしても何も問題ないですが……)
「ナゴマ楽しむ」にすれば「ムシノタマゴナ」なので「虫のタマゴ」ができる……こっちにしようかな……みたいなことを考えつつ、方針を固めていきます。

このようにして、キーワードを逆読み→文字を足して文のパーツに→さらに逆読み→文字足し→逆読み……と何度も繰り返すことで、回文が長くなり充実していきます。
(もちろん長くなるほどちゃんと意味の通った文を作るのが難しくなるので、こんなに上手くいくとは限りませんが……)

両端と中央を処理する

十分長くなったら、いよいよこれを「回文」にします。
二つのパーツを繋げて一つの文にするわけです。

先ほどの例だと「ムシノタマゴナ」と「ナゴマタノシム」をくっつける訳ですが……

まず回文は「文」なので、ちゃんと始まってちゃんと終わる必要があります
文の始まりに「は・の・に・を」のような助詞が来ることはないですし、終わりの部分も体言止めや「ですます」、動詞の終止形、終助詞などいろいろなやり方が考えられます。
この辺を定式化するのは難しいですが、要は「パーツが長くなってきたな~」と思ったらちゃんとした文になるように語尾を整えようということです。

今回の例だとスタートは「虫の卵」、ゴールは「楽しむ」なのでこれ以上整えなくてもオッケーかな……
「楽しむ日」とかにしてもいいんですが、これだと「虫の卵」と上手く繋がらない。

それと同時に、2つのパーツをくっつける真ん中の部分も考えます。
ここもちゃんとした文になるように整えよう。

一番楽なのは、2つの「ナ」を直接接合させる方法です。
でも「虫の卵、ナゴマ楽しむ」だとちょっと意味が伝わらない。

なので今度は2つの「ナ」の間に文字を入れて恣意的に意味をつなげていきます
「ムシノタマゴナ○ナゴマタノシム」……「虫の卵撫で」とかどうですか?

というわけで「虫のタマゴ撫で、ナゴマ楽しむ」という回文ができました。
(回文ということを度外視した)文としては「虫の卵を撫でて、ナゴマが楽しむ」の方が自然なんですが、まあ文意は通ってるでしょう。
こういう語の繋げ方とかも違和感なくできるようになったらプロなんでしょうね……私にはまだできない。

ちなみに虫は苦手です。
じゃあこれも虚構じゃねえか

さて、回文の作り方を解説しました。
この記事ではキーワード決め→逆読み→文のパーツ作り→端と真ん中の処理という順番に書きましたが、実際はパーツ作りをする前に真ん中を処理することもありますし、その辺のやり方は臨機応変に変えられます。
今回のように前半部と後半部を別々につなげると、完成した文を読んだときに中央の部分で分断されている感じを与えてしまうことがあるので、先に頭の中でつなげておいた方が良いかもしれません。
また、作る人によってもやり方は異なるでしょう。
とにもかくにもこの記事が少しでも参考になれば幸いです。

最後に、自分が過去に作った回文をいくつか紹介します。

  • あれれ、こだまだ! これレア!
  • 「いつ?」「来た!追うよ!」「新幹線鑑賞オタ、キツい……」
  • 参道制覇後は伊勢うどんさ!
  • 産経新聞シーケンサ
  • う、ホールエルー法

ではまた。