言葉遊び大百科:しりとり
しりとり、りんご、ごりら、らっぱ、ぱんだ……
しりとりをしよう!と言って始める時はだいたいこの並びから始まる。
別に決まったルールや理論があるわけでもないのに、この並びが定着してるというのもなかなかすごい話だ。
「しりとり」という遊びが一般的になっているということの証拠だろうか。
「言葉遊び」というと、ダジャレや回文のように作品をひとりで作って公開するようなものが多いが、しりとりは1人でも2人でも100人でもできる、正真正銘の「言葉『遊び』」だ。
しりとりとは
今更説明するまでもないが……しりとりのルールについて。
誰かがある単語を言って、次の人がその単語の最後の文字から始まる単語を言う。
それを繰り返して言えなくなったら負け、というゲーム。
しりとり → りんご→ごりら →らっぱ → ……
日本語では「ん」から始まる言葉がほとんどないので、単語の最後が「ん」の言葉を言うとゲームが続かなくなる。
だから、一般的には「ん」で終わる言葉を言うと負け。
逆に「ん」以外では終わらないので、始まる言葉の少ない「ず」や「ぬ」などで攻めるという戦略がよくある。
他人と一緒に対戦形式で遊ぶときは制限時間を設けることも多い。
まあ、時間を無制限にしちゃうと終わらないので……
一度言った単語をもう一度言うことも禁止される。
無限ループに陥るからだ。
変則ルール
さて、そんなしりとりだが、ルールがものすごく単純で分かりやすいため、変則ルールが多数作られている。
2文字しりとり
代表的なのが、繋げる文字を1文字から2文字に増やしたものだ。
しりとり → トリウム→ ウムラウト → ウトナイ湖 → イコン →……という風に続いていく。
当然だが、この場合「ん」がついてはいけないのは最後から2文字目になる。
取る文字が2文字になったことで難易度が上がり、戦略性が増す。
相手につなげる文字列を選べば、1文字の時よりも攻撃力は高い。
語彙力に自信があるならば相手のミスを誘うようにアグレッシブに攻めればよい。
そうでなくても、相手が確実にハマる罠を事前に用意しておけばいい。
定食のごとく。
さあ、ここで相手の承諾を得たら、いきなり開始しましょう。まずはこの一言。
「じゃあ俺からいくね。んーと、、『となりのトトロ』」(中略)
私の経験上、10人のうち8人は『トロ!(笑)』と答えます。
(中略)
さて、相手はこちら側が提示した『2文字返しOK』を早速使った『トロ』の答えに得意満面です。
そのニヤケッツラを次の一言で地獄に突き落としましょう。「トロロ」
引用元:しりとりで勝つ
これを聴くと、じゃあ3文字に増やしたら?と思うだろう。
ルールが拡張されたらもっと拡張したくなるのは世の常だ。
だが、3文字でやると、最初の「しりとり」の次の単語の時点で即つまずく。
調べたら「リトリート」とかはあるが、それ以降も辞書を片手に検索力選手権をやる羽目になる。
限界しりとり
QuizKnockが考案した『限界しりとり』。
トランプを利用して、答えられる単語に制限を付けている。
・しりとりの「り」から始まる。
限界しりとり-ニコニコ大百科
・引いたトランプの数字分の言葉でしりとりを行う。
・トランプは2〜Jを使用。Jは11文字以上であればよい。
・山札が無くなったらシャッフルして再開。
・持ち時間は一人15分。
・各自1回までコマンドが使える。使えるコマンドは「文字数減らし」「『ん』廻し」「広辞苑」「オーディエンス」などいろいろ。
・濁点半濁点のつけ外しはできない。
・長音は1文字に数え、長音で終わる場合はその前の文字で続ける。
・小さい文字も1文字に数え、小さい文字で終わる場合はその文字で続ける(例:しちゅー → ゆ)。
スマホアプリやボドゲ版も存在しているので気軽に遊べる。
自分が答えるべき単語の難易度は頭文字と文字数によって決まるが、このうち頭文字は相手の裁量、文字数は確立の定めによって決まる。
「ず」「ぬ」「ぷ」で強気に攻めても相手のカードがデレれば難易度は遥かに下がるし、逆になんてことのない文字であっても「7」「8」「9」「10」が連続すると辛い戦いになる。
逆に絵札が出れば「10文字『以上』」で許されるようになるため、とりあえず長い名前のものを言えば良いことになる。
サブタイトルのある作品名をストックしておけばよい。
これに限らずQuizKnockは山ほど派生しりとりを考案しており、もはやしりとり系YouTuberとならんとする勢いであった。
同時通訳しりとり
一時期Twitterで『同時通訳しりとり』が流行していた。
これは2か国語で同時にしりとりを進めるというものである。
これも拡張して3か国語にできないかと考えたことがあったが、そもそも3か国語に精通していないとスムーズに進めることすらできない。
上位互換しりとり
オモコロチャンネルが考案した「上位互換しりとり」。
相手の言った単語よりも「強い」単語を述べて、しりとりを継続させるというものである。
このときいかに「より強い」とみなすかは、自身のプレゼン能力と場のコンセンサスによる。
あくまでパーティゲームとしての側面が強く、最終的にはカオスに発散する無法地帯であるが、「龍 → ウロボロス」「ウケんべ → 別に……」のように納得度が非常に高いものが飛び出すこともあるのが非常に面白い。
白熱するとバトル漫画のような展開になるが、あくまでしりとりであることを意識しておかないと痛い目を見ることにもなる。
ジャンル制限しりとり
派生しりとりのひとつに、ジャンルを制限して行うしりとりがある。
「食べ物の名前」のようなお題に沿った言葉のみで進めていくしりとりである。
森羅万象を対象としている元々のしりとりに対して、こちらはぐっと範囲が縮まるため、一瞬で詰みに至ることもしばしばある。
この時のしりとりがどれほど続くのかということは物好きな人たちの興味の対象となっており、様々な解析がなされている。
例えば、都道府県名の場合。
最長の組み合わせで8つ続き、その組み合わせが2通りあるが、本質的にほぼ同じで覚えやすい。
ふくい/いばらき/きょうと/とちぎ/ぎふ/ふくおか/かがわ/わかやま
都道府県は暗記しろ-フライパン職人
ふくい/いばらき/きょうと/とちぎ/ぎふ/ふくおか/かながわ/わかやま
母集団に属する要素が少ないため、最長の解というのが真実として定まる。
ポケモンの場合、新作が発売されるごとに増えていくため何とも言い難いのであるが、2017年時点では
いよいよ最新版の802匹でしりとり検索です!! 結果は… 387 でした!
【最新版】ポケモンしりとりの最長を、線形計画法で導き出す!
とのことである。
ポケモンともなると流石に母数が多いためプログラムを利用しなければ解けないが、「与えられた単語群内での最長しりとりを考える」ということならば楽な方法がある。
しりとりという枠組みの中では語の最初の文字と最後の文字にしか意味がない。
あとはどうでもいいので、単語を簡素化する。
例えば与えられた単語群が「スルメイカ アイス カルピス」だった場合、「ス→カ ア→ス カ→ス」と表記して差し支えない。
そしてこれを連結する。
この時、複数回登場する文字は全て1つに統合すればよい。
すると、「ア→ス↔カ」という風になる。
この時の矢印の最長経路を探せばよい。
この例だと、「ア」から始めれば「ア→ス→カ」と2単語続けられるが、「カ」から始めると「カ→ス」の1単語で終わってしまう。
単語が3つしかないとしょうもない分析に見えるが、単語が10個20個になって目では追えなくなった時に非常に有効な手法である。
謎解きだとそういうパズルが出てくる場面も多いので、困ったら試してみる価値はある。
この方法を使って元素の最長しりとりを分析したことがあったが、あまりにも「そ」「ん」「む」のストッパーとしての力が強く、2語しか続かなかった記憶がある。