「インク謎」の科学【時に好かれ、時に嫌われるアレ】
どうも、こんばんは。
今日は謎解きの世界で時には熱狂を起こし時には毛嫌いされる「インク謎」についてまとめていこう、という記事になります。
ブルーバックスみてえなタイトルだな
インク謎とは?
インク謎は「インク(のようなもの)がこぼれている一枚謎」の総称です。
ケチャップだったり虫食いだったりすることもありますが、これらもまとめてインク謎と呼んでしまいます。
インク謎には大きく分けて2つの種類があります。
タイプ1:インクが謎本体と絡まないタイプ
1つ目はインクが謎解きのギミック自体に影響しないものです。
例えば、こんな感じの謎。
このタイプの謎ではインクは謎を解くためのヒントにはなっておらず、むしろ得られる情報量を減らすものになっています。
そのため隠れている部分を推測する必要があるのです。
例えば上記の謎であれば、
- 五十音表の「か」の位置に数字が振られているが、何番かは分からない。
- 解答欄を見ると、②は小さい文字になり③は半濁点が付くことが分かるが、「か」はどちらも該当しない。よって①=か
- ②に該当するような小さくなれる文字はあ・い・う・え・お・つ・や・ゆ・よ・わなど限定される。
- また、②は見える位置に存在していないためインクで隠された文字であることが分かる。
- 3・4より②に入る可能性があるのは「つ」「や」「ゆ」「よ」のみ
- このうち「か」の後に続けるのは「つ」のみなので(「かゃ」「かゅ」「かょ」は発音できない)②=つ
- ③に該当する文字は「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」のみだが、このうち③が振られている可能性があるのは「は」のみ。③=は
- よって答えは『かっぱ』
というステップを踏んで推測して解く必要があります。
もしインクがなければ五十音表から拾うだけの1ステップなのに……
このように虫食い算的なパズルをさせられるのが1つ目のインク謎です。
タイプ2:インクが謎本体と絡むタイプ
もう1つのインク謎は、インクが謎自体に影響しているものです。
例えばこんなやつ。
インクが謎における法則やヒントの役割を担っているパターンの謎です。
上の問題であれば、上段でインク=INKと読み替えて「PINK=ピンク」なので、下段も同様にして答えは『LINK』というものです。
インクが「インクのイラスト」の役割を担っているわけです。
嫌われるインク謎、褒められるインク謎
さて、2タイプのインク謎を紹介しましたが、タイプ1の「インクが本体と絡まない謎」が一部の人にめちゃくちゃ嫌われてたりします。
インクが本体に影響しない謎では、インクを取り払った画像(インクで汚される前の画像)が謎解きとして完成している必要があります。
言い換えると、インクは謎を邪魔するものでしかないということです。
インクで謎の画像が隠されると、当然難易度は上がります。
「この部分が見えてるとクリティカルすぎるから隠そう」とか「見えてない状態でも解けちまうのがオモロ」とかそういう理由があってインクをこぼしているのであればよいのですが、「とりあえずインクかけときゃ難問っぽくなるやろ」的な感じで適当にこぼしているものは結構不評になる印象があります。
難易度等がきちんと計算されたインク謎でも不評になることは多々あります。
前に述べた通り、このタイプのインク謎の面白味は虫食い算的な推測の部分にあるわけですが、結構論理的な思考が要求されてパズルのような解き味になります。
これが謎解きのひらめき・直感・反射記憶的な部分と上手く融合しないと面白みが散ってしまうわけです。
また、インクの下にある記号やイラストを読み取っていく作業は言ってしまえば遠回りです。
「インクがなければもっとスパッと解けるのに……」みたいなフラストレーションを抱くこともあります。
謎が解けるまでに必要なこうした部分のストレスに耐性があるかどうかでこの手の謎の評価は二分されてしまいます。
また、情報が隠されているため、答えが一意にならないのではないかという不安が拭えないのも事実です。
上に掲載した五十音表の例題では文字の性質を利用して解答を導きましたが、これは「実在の単語が答えになる」という暗黙の前提があるから成立しているのです。
ですので、答えが「かゅぱ」になったり「しっか゚」になったりする可能性は否定できていません。
このような暗黙の前提を利用する箇所が多分にあるため、謎解き初心者はとっつきづらくなりますし、納得度の高い解法を準備するのも難しくなります。
この手の謎を制作するのであればそれなりに覚悟がいるということですね。
一方で、タイプ2の方の「インクが本体と絡む謎」は高評価を得やすい傾向にあるように思います。
記憶に新しいところだと「謎王」の予選1位がこのタイプでした。
この手の謎が評価される理由のひとつに「タイプ2はタイプ1のインク謎へのオマージュである」ことが挙げられると思います。
つまり、「最初はタイプ1のインク謎に見えて考え込むけど実際はそうじゃない」ことの面白さが評価のポイントのひとつになっているのです。
タイプ1に対する反駁・皮肉として作られているという側面もあり、ある意味ではタイプ1が存在するからこそ評価されている謎なのだと思います。
そのため、タイプ2を「インク謎」と呼ぶべきではないという意見も存在します。
どちらも便宜上「インク謎」とは呼ばれていますが、タイプ1とタイプ2ではギミックが全く異なるということは意識した方がよいかもしれません。
インク謎を解こう!
さて、タイプ1のインク謎が嫌われがち……みたいな話をしてしまいました。
実際、この手のインク謎が苦手だからインクが見えた時点で敬遠する……なんて人もいます。
ですが、きちんと解けるように調整されたインク謎であったり、インク自体がギミックに絡んでいる謎解きはパズル的な面白さが存分に生かされていて個人的には結構好きです。
少し重たい謎になってしまうのも事実ですが、その中でもオススメできるものを紹介したいと思います。
「Eradicate INK」(C-lock-row)
C-lock-rowさんのLINE謎「Eradicate INK」です。
LINEをアレコレ操作しながらインクをアレコレする感じの謎解きです。
ボリュームたっぷりで、ゲームとして楽しい作品に仕上がっています。
「或洋墨瓶からの脱出」(ひっと謎)
恐ろしく広いジャンルの謎制作を手掛けるひっと先輩のLINE謎です。
謎の見た目は相当エグいので初心者の方には正直あまりオススメできませんが、個々の謎の理不尽さはあまり感じず、全体としてちゃんと導線が存在する作品です。
こういうパラメータ極振りの謎は大好き。
という感じでインク謎についてまとめてみました。
議論を呼ぶタイプの謎解きではあるのですが(ちゃんとすれば)非常に楽しいジャンルだと思うので、これからも様々なタイプのインク謎が生まれることを期待しています。
ではまた。
こっちも参照
[blogcard url="https://nazotoki.fandom.com/ja/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF%E8%AC%8E"]
[blogcard url="https://togetter.com/li/1450672″]