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謎解き公演を、作りました【上方謎の園】

おはようございます。

8月20日に神戸三宮で開催された学生謎解きフェス「上方謎の園」にて、私が代表を務める団体であるENIG-ROIDは「最凶最悪デスゲーム(準備中)」という謎解き公演を開催しました。

(準備中)まで含めてタイトルです

このイベントでは代表として団体とフェス運営の間のメッセンジャーを担当したほか、公演制作時のディレクター・現地でのスタッフ等を担当しました。

ということで、本記事はその参加録になります。

「作りました」というタイトルになっていますが、私はあくまでも原案を出し、ディレクターを担当しただけの人間です。
アイデアや物品制作、演出、当日の運営などは、ENIG-ROIDの制作チーム(10人ぐらいいます)全員がそれぞれの役割を全うしてくれたために誕生・成立したものであり、決して「自分1人で作った」というようなものではないということは予め断っておきます。

それではレッツゴー

タイムライン

公演開催まで

まずは今年の3月末~4月冒頭にかけての話をします。
めちゃくちゃENIG-ROID内部のスケジュールについて喋っちゃうのでこんなことしていいのかちょっと不安なんですが、商業的にまずそうな話はしないので大丈夫だと判断します。代表僕だし

年度の初め・終わりであり、卒業と入学の季節であるこの時期に大学サークルがやることと言えば、もちろん新歓の準備です。
謎解きサークルである我々は新入生向けのオンライン公演「融通の利かないオンライン試験からの脱出」を制作していました。

想像以上に多くの人が参加してくださり嬉しい限りです。

コロナ禍の影響でストップしていた対面例会も復活させることができ、新入生を対象にENIG-ROIDの過去公演の再演を行ったりもしていました。

謎の園参加へのオファーがあったのも同時期です。
確か3月末だったはず。
関西で学生フェスをやる」と聞いて、「これは参加するしかない」と思いました。
ENIG-ROIDはここ3年ほど、対面での新作公演を打てていません(新作に限らなければ大阪最宴祭での「突撃!隣の新生活」があります)。
関西地域ではそもそも新作を出すきっかけも少なく、唯一の定期イベントだったNF(京都大学11月祭)はオンライン開催が続いていました。

大学サークルにおいて、3年という時間はほとんど世代が入れ替わる期間です。
つまり、対面公演に関する諸々を引き継ぐためには、そろそろイベントを実施する必要がありました。
そんな中での上方謎の園はまさに渡りに船。
サークルの幹部と相談したうえで、「新作を出す」と返事しました。

ただ、ここで一つ問題が発生します。

サークル幹部、誰も「謎解きフェス」を知らない。

謎解き=SCRAPのリアル脱出ゲームへの参加、という層が大半ではあるので無理もないことですが、イベントの運営なんて当然誰もやったことがないですし、比較的ニッチなイベントである「任意団体が集まって行うフェス」なんてものに関して詳しい人は一人もいません。
僕も古参ぶってはいますが、謎解きイベントへの参加履歴は2020年からなので、こういったものの経験は先述の大阪最宴祭4で軽くスタッフを務めた程度です。
というか、ENIG-ROIDには運営世代(サークル3年目)が4人しかいません。噂によるとAnotherVisionの20分の1らしい。

そのため、参加を決定した後も色々と不安は残りました。
ただ、実際にイベントの運営を経験した世代(4回生・院生)から色々と詳しいサポートを頂けたので、話を進め、制作に移していくのはスムーズだったように思います。

公演制作

この辺は何を言ってもネタバレになっちゃう(ディレクター自ら自作品の商業的価値を下げるのはヤバい)のでめちゃくちゃぼかすんですが、「デスゲームのこういう要素を使えば面白そうじゃない?」というような私の提案から制作がスタートしました。

その後、なんやかんやがあり、7月末ぐらいにはプロットが完成。
テスト期間はサークルが休みになるということを完全に忘れていたせいでめちゃくちゃタイトになってしまったのですが、8月冒頭にデバッグができる形には持っていくことができました。

デバッグの詳細は省略しますが、この段階での公演は相当粗いものであり、とても商業的に出せる状態ではありませんでした。
それでも付き合っていただいた皆さんに感謝。

このデバッグで洗い出された問題点を1つずつケアする形で様々な修正を行い、面白く遊んでもらえることを確信できる状態まで持っていきます。
この辺は過去に制作経験がある方々からのアドバイスに全力で乗っかっていきました。
同時に物品制作や印刷物の発注、演出面での仕事の振り分け等も行っていきました。
正直ここが一番しんどかった
物品のデザインや動画の制作等、ほとんど経験がない状態から勉強してかなりハイクオリティなものを作ってくれたチームの皆には本当に感謝しています

そんなこんなで前日ランスルーには何とか間に合わせることができました。
それでも前日まで細部の修正を行っていたので、「このタイミングで完成した」とはなかなか言いにくいですが……
文章制作を担当していた僕がランスルー会場にガジェット類を全部置き忘れて帰ってしまい、前日の修正が一切できなくなるという大ハプニングが発生していました。対応してくださった皆さん、ありがとうございました。本当にごめんなさい。

イベント当日

前日に修正は完了し、当日はもう台本通りの仕事をするだけ!という状態だったので、幾分か気は楽でした。
ただ、前半2公演で司会を務めるという大仕事が残っていたのでまだ気を緩めることはできません。
特に私は人前で前後不覚に陥りやすいタイプ(高校の時に挑戦した演劇でセリフをすべて飛ばしたことがある)なので、うっかりすると公演が崩壊してしまう可能性があります。
ですのでこの辺りは慎重に。

幸い、大きなヘマもなく初演を終えることができました。
司会はぎこちなかったとは思いますが……

Twitterでサーチをし、「良い」と言ってくれている感想を見つけてはしゃぎます。
これが公演運営の醍醐味な気がする。

その後も4公演をこなし、無事に一日を終えることができました。

反省点とかそういう話

さて、無事に終えることができたと書きましたが、もちろん100点満点の結果ではなかったと思っています。
先述の通り、前日まで修正を繰り返していたということもあり、当日になって「ここはこうしといたほうがよかったな~~」と思う点もいくつか見つかりました。
また、お客さんを複数チーム入れて行ったことで初めて浮き彫りになったオペレーションの課題もあります。

この公演を作るまで、僕は謎解きのスタッフに関して「再演」というものしか経験したことがありませんでした。
再演はズバリ再現であり、当時のもの(完成系)を基準として作り上げればよいものです(もちろん、時代に合わせてパートを変更する必要があるなど、結構クリエイティブな仕事ではありますが)。
ですが、デスゲーム準備中は完全新作公演
すなわち完成系が存在せず、直前まで色々探りながら制作を進めていくことになってしまいます。
ですので、どこまで徹底して作りこめばよいのか、どれぐらい説明すれば参加者に伝わるのか、そういう指標がないわけです。
これが新しいものを作る・運営することの難しさなのだなぁ、と思いました。

感想等を見ていると、褒めてくれているもの半分、「納得できてない」という感想半分といった形になっています。
ネガティブな感想についてはあまり気にしないタイプなのですが、今後この公演を再演する際により良いものにするためには……ということを考える上では重く受け止める必要がありそうです。

また、本公演の成功率は3/17、20%を下回る結果となりました。
ENIG-ROIDの歴代公演の中でも相当低い数字。
過去には0%のオンラインイベントがあったらしいけど
個人的には成功率が低いこと自体は何も問題ないと思っています。
難しいものに挑み挑まれたいですし。
ただ、ここに「理不尽さ」「納得の出来なさ」が絡んでくるとまた話は変わってきます
理不尽な難しさ・面白味のない難解さはただのノイズであり、公演で伝えたかった面白さとは全く異なるものだから出来るだけ排除したい。
感想をサーチすると「理不尽さはなかった」と言っている人と「ちょっと理不尽だった」と言ってくれている人が両方いて、客観的な判断を下すのはなかなか難しいことが分かります。
ですが、少しでも理不尽さを感じさせてしまったというならそれはこちらの落ち度であり実力不足ですので、再演をしたり別の新作を出したりする際には是非ケアをしていきたいですね。

個人的には納得度を50%上げて成功率をさらに10%下げたい。

ENIG-ROID代表としての話

色々書いてきましたが、ENIG-ROID代表として言いたいことはただ一つです。

参加してくださった皆さん、デバッグ等に協力してくださった皆さん、この場を提供してくれた謎の園運営の皆さん、そして制作をしてくれたENIG-ROIDメンバー、本当にありがとうございました!

さっきも書きましたが、ENIG-ROIDは約3年間、オンサイトでの新作公演を作ることができていませんでした
具体的に言うと、私の1つ上の世代が幹部をやっていた間は対面での新作を一切公開できていません。
私はその間に「エニグロ十年一昔」「融通の利かないオンライン試験からの脱出」などのいくつかの作品を制作し、いくらかは良い評価をいただいていたのですが、それらは制作・上演ともにオンラインのものでした。
オンラインコンテンツにはオンラインコンテンツとしての良さがあるとはいえ、このまま対面コンテンツが制作できなくなるのはサークルとして非常にまずい
危機とは言わないまでも、若干の焦りのようなものは感じていました。

代表になる前のツイート

そんな中でこの「上方謎の園」という場を提供してくれたことやそれに向けての制作にみんなが携わってくれたこと、参加者の皆さんが温かく迎えてくれたことは、間違いなく追い風として働いたと思います。
少なくとも、コロナ禍によって団体が断絶するという事態は避けられたかな~と楽観的に考えています。

次の山場は下の世代への引継ぎかな……

ナゴマ個人としての話

さて、団体に関係ない個人としての感想です。

一番に来るのはやっぱり「ついに公演を作っちゃったんだなあ」ということでしょう。

2020年に謎解き公演デビューして以降2年間、ずっと解く側、遊ぶ側として界隈でのらりくらりと生きていました。
「謎解き公演」というものに憧れつつも手が出せなかった時代も含めるともっと長いですね。5年ぐらい?
そんな中で、ついに自分が制作者として携わったものが世に出たというのはある種の衝撃であり、人生における大きなチェックポイントであることは間違いありません。

また、その公演を見知った人たちに体験してもらったこと、特に今まで「この人たちの作るもの、面白ぇ~~~~」と思っていた先輩方に遊んでもらってフィードバッグを戴けたことは得も言われぬ喜びです。
4,5年ほど前に細々と一枚謎を出し始めたときにはこんなことは考えられなかったな。

まだまだ成長の途中段階ではありますし、今後僕が制作者としてどのように生きていくのかは全く分かりませんが、今後の動きにも期待していただけたら……と思っています。

まとめ

色々書いていきましたが、まあ「面白かったね」ということです。

一仕事終えて肩の荷が下りたような気もしますが、僕は相変わらず団体代表なのでまだゆっくりするわけにもいきません。
それなりのペースで頑張っていきたいと思います。

次は……NFかな……?