謎解き日本一決定戦 – 決勝大会進出者の思考回路③【呪術廻戦漢字謎編】
おはようございます。
本記事は先日放送された「謎解き日本一決定戦Χ 2023」の決勝大会出演者が自分のプレイングやその意図について解説していく記事となっています。
連続する記事の3つ目になるので、前の記事を読んでいない方はそちらから続けて読むことをオススメします。
以下、番組のネタバレを含みます。ご注意ください。
セカンドステージ・呪術廻戦謎解き
セカンドステージはアニメ『呪術廻戦』とコラボした謎解きです。
キャラクターが喋り、原作の世界設定に合わせた謎が出題されていたようですが、原作のことを何も知らないので本記事ではその辺には一切触れません。
前半戦のルールは以下の通り。
- 全2問の制限時間は160秒
- 問題画面を暗い言葉が邪魔している
このルールが表示されたシーンで僕がめちゃくちゃ笑っているのが確認できるかと思うんですが、この時の心情は
「出た~~~~~~~~~~~~」
です。
いわゆる「インク謎」の系統に属する、「単独で成立している謎に全く関係のないお邪魔要素が乗っかっているやつ」。
パズル的な推測の余地を持たせたり、情報を隠して思い込みによるミスリードを誘ったりと何かと面白い仕掛けができるシステムではあるんですが、僕にとってはいつまでたっても慣れない形式のひとつ。
さらに今回はΧ特有の「徐々に見えるようになる」謎。
ノンストップで情報が増えていくので、他のプレイヤーとの競り合いということを考えると一切気が抜けません。
この時点で僕は、昨年の最終予選で出題された形式の謎(問題が1方向からだんだんと見えるようになっていくもの)をイメージしていました。
しかし、このステージの謎は昨年の最終予選の問題の比ではないぐらいの難敵でした。
具体的にどうヤバかったのか
どこを見ればいいのか分からない
昨年の最終予選の問題は、ある方向からだんだん見えてくる形式だったため「今この瞬間に増えた情報」が識別しやすく、注視するべきポイントが定まっていました。
しかし、今回の問題は画像全体から満遍なく文字が消えていくので注目すべきポイントというものがなく、「今この瞬間に増えた情報」をつかむのが非常に難しかったです。
元の問題の概形が最初からうっすらと見えているということもあり、時間あたりに処理すべき情報量がかなり多かった印象。
確定ポイントがない
「どこを見ればいいのか分からない」の項で説明した通り、このシステムでは「今この瞬間に増えた情報」を完全に把握するのがほぼ不可能でした。
昨年の最終予選の問題形式であれば「この文章が見えた瞬間に実は答えがひとつに決まっていました~」というドヤ顔ができるのですが、今回は情報が波動のようにジワジワ増えていくため、100%解けるようになるきっかけというものがありません。
プレイヤーは最初から最後まで憶測を駆使した戦いを強いられます。
不要な情報と必要な情報のスタイルが同じ
いわゆる「インク謎」は、どの部分が目くらまし・お邪魔要素であるかがはっきりしています(「インクのイラスト」が謎に登場するひっかけ問題もたまにありますが、あれはまあ例外ということで)。
しかし今回は、漢字を漢字で隠しており、フォントも多分同じ(よく見たらちょっとポイント数が違う気もするんですが、そんなもんあの場では分からん)。
情報の要不要が見た目だけでは判断できないため、先に謎の構造を推測し、それを根拠に必要な情報を選ぶということをしなければなりません。
ただのインク謎よりも考えることが1つ多いわけです。
1問目のあとのインタビューですいとんさんが「右を見た時に『嘘』多そうだなと思って」という旨のことを言っていましたが、僕はそのアタリを付けるまでに結構な時間を要してしまいました。
時間が短い
制限時間は80秒でしたが、最初の20秒はほとんど情報が増えない時間、最後の20秒は問題画像が完全な状態で見えたまま動かない時間だったので、速解きで差を付けられる時間は40秒程度しかありません。
この短時間でこの情報量と向き合うのはかなり難儀な話であり、ファーストステージのお笑い謎解きのように制作者の意図を見抜いて素早く答えるということはほぼ不可能でした。
実際、プレイヤーが解答を提出するタイミングの差はほとんどありませんでした(「漢字が苦手」とおっしゃっていたけいわいさんが不利なステージでしたが、それでもお笑い謎解きに比べると前方集団と後方集団の差が小さくなっています)。
五里霧中での生存戦略
以上のような理由から、このステージでは非常に苦労しました。
お笑い謎解きでは明瞭な解法・戦法・駆け引きを説明しましたが、ここでは非常に泥臭い試行錯誤によって解答を導いたので、特に威張って説明できるような速解きはできていません。
ただ、謎を解く部分での工夫はできていなくても、このステージを生き残るための戦略はずっと持っていました。
セカンドステージの前半戦では、5人が4人へと絞られます。
つまり最下位にならなければよいわけです。
そして前半戦の問題はたったの2問。
出遅れや誤答があると挽回はかなり難しい一方、「だんだん見えてくる」という謎の性質上、出遅れが発生する可能性は極めて高いですし、攻めて誤答する人が出てくることも十分考えられます。
つまり、「やらかすと死」であり、それと同時に「やらかさなければ生」なのです。
だったらもうやらかさない動きをすればよい。
派手さは全くなくなりますが1位を狙う必要は一切なく、他のプレイヤーが解答するのと同じタイミングで確実な正答を積んでおけば勝ち抜けが期待できます。
問題を考えつつ、モニターで他の人の解答状況を確認する。
最初の20秒は一切動きがなく「何かに気づけば出し抜ける」というようなものでないことを確認して安堵します。
あとはジワジワと情報が揃い、変な推測をしなくても解ける状態まで待つだけ(待つ、といっても、確証が持てた瞬間に答えを確定して解答できるようにと手元はフル稼働でしたが)。
1問目では4位と勝ち抜けラインぎりぎりの位置になり少し焦りましたが、5位とは20秒程度の差があったため、誤答しない限りそう簡単には抜かされません。
2問目は1問目以上に差が付かない問題で4人一斉に押すという感じになってしまいました(解説では「合体した文字に気づくのがポイント」と言われていましたが、控室で話を聞くとそれをちゃんと見抜いた人はいなかったっぽいです)が、僕は2問とも答えに自信を持ったうえで押したのでこの時点で4番目に付けていれば安心です。
結果としてけいわいさんのビハインドとおいたくさんの誤答に後押しされ、最終3位で通過しました。
安定択を取ったことがしっかり功を奏しましたね。
ちょっとした裏話
- なぞなぞちゃうんかい
- アニメという媒体が苦手なので、「ここでアニメ見せられなくて良かった~」って控室で言ってた
- ステージ開始の際、小芝さんが「呪術廻戦謎解き~」を3回ほど噛んで撮り直しになっちゃったんですが、今田さんが毎回フォローしていたので現場の空気がずっと明るいままでした。ええもんを見た
- 呪術廻戦について何も知らなかったんですが、おいたくさんに色々教えてもらい「あの五条という人がジャムおじさん、残り3人がアンパンマン・カレーパンマン・しょくぱんまん、呪いがバイキンマン軍団でかびるんるんがいたりホラーマンが出てきたりする」という理解をしました。わかりやすい
- このタイミングだけ、次のステージ(脱出)が何であるかが敗退者にも告げられました。このあとに脱出が存在することを知りながら帰宅したけいわいさんがかなり気の毒
波乱がありながらもなかなか見せ場のないステージになってしまったな、という感想でした。
これが進化しすぎた人類に贈るRIDDLERからの選別試験だというのなら僕は良い踊り子だったかもしれませんが、もしも「素早く解いて魅せてほしい」という信頼の気持ちなのだとしたら上手く受け取れず申し訳ない、とも思います。
さて、次のステージはいよいよ僕が敗退する脱出謎解きです。
何があったのか、次の記事で釈明したいと思います。
ではまた。