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アルゴンの元素記号が「A」一文字だった頃の話

アルゴンは原子番号18番、元素記号Arの元素。
貴ガスに分類される。

……とまあこんな事実は理科をかじったことのある人にとっては常識でしょう。
中学・高校では理科の時間に原子番号20番のものまで覚えることになると思うので、専門じゃない人でもどこかで名前を聞いたことはあるはずです。
クイズが好きだったり入試の一問一答対策をしたことがある人なら、地球の空気中に3番目に多く含まれる気体がこのアルゴンだというのも知っているかと思います。

そのアルゴンですが、かつて元素記号が「A」の一文字だったという噂を聞いたことがありました。
でも、検索してもなかなかちゃんとした情報源が見つからない。
知恵袋的なもの見ると「そんな事実はない」って断言してる人もいるし。

なので結構ちゃんと調べました。

元素記号「A」だったのは確か

まず、アルゴンの元素記号が「A」の一文字だった時代があるのは事実です。
1925年に出版された最初の「理科年表」の物13ページにある元素周期表には、アルゴンの場所に「A」という文字が記載されています。
(ただし、別のページには「Ar」として記載されていたりします。)

また、ノーベル賞公式Twitterアカウントが化学者のグレン・シーボーグの生誕を祝うツイートをしたときに添付されていた画像に、「A」の表記がある周期表が映っています。

存命中に元素名になった数少ない人物。

1957年に「Ar」に統一された

次に気になるのはいつ現在の「Ar」に統一されたのかということですが、ブルックヘブン国立研究所のNNDCのサイトに掲載されている文書によると1957年に変更されたということです。
また、他のメディアでも「1957年にIUPACがArに変更した」みたいなことが書かれているので、これはある程度信用できるのではないかと思います。
(できれば一次ソースを当たりたいけど1950年代の刊行物ってどうやって探せばいいんだ……)

変更された理由は……?

一番気になるのは変更された理由です。
R. S. CahnのAn Introduction to Chemical Nomenclatureによると、他国との慣例の間に混乱があったこと、他の貴ガス元素の記号がアルファベット2文字であったことが統一の理由だとされています。
確かに先ほど挙げた理科年表でも場所によって「Ar」だったり「A」だったりするので、当時はまだアルゴンの元素記号が世界中で統一されていなかったのかもしれません。

とまあこんな感じで色々調べてみましたが、まだまだ分からないことも多いので絶賛情報募集中です。
やっぱり元素・物質の名前は面白いなあ。
ではまた。

科学元素,元素名,化学

Posted by Nagoma